アリとキリギリス 

ある本を読んでいましたら次のような話がありました。「アリとキリギリス」。イソップ物語の有名な話なので、誰でも知っていると思います。働き者のアリと音楽を奏でておもしろおかしく暮らしているキリギリスが、寒い冬を迎えたとき、働き者のアリは蓄えが沢山あるので食べ物に困ることなく生活できたのに対して、キリギリスは食べるものがなくてアリに助けを求めますが、「ほらごらんなさい。私のいったとおりでしょう。夏の間遊んでいたのでバチが当たったんだ」と言って追い返しました。それでキリギリスが大変な思いをしたというお話です。
ここまでだと私の知っている話と変わりありませんが、今の子供達は後半部分について「まあ、キリギリスさん大変ですね。」と言って食料を分け与えるという話を教わっているそうです。また別な話も書いてありました。冬にキリギリスがアリを訪ねると「返事がないので中に入ると、アリは死んでいた」というものです。夏場働きすぎたせいで、冬になって過労死してしまったということだと思います。また「アリは冬場、運動不足と栄養過多で糖尿病にかかっていた」という話、そして、「アリは冬場、することがないのでキリギリスの音楽を聴くために食料を与えた」という話もありました。「アリとキリギリス」の話はなにかを示唆した面白い話です。
 以前の社内報で、アリの中でも働くアリと働かないアリがいるということを書いた社員がいましたが、私の読んだその本によると「昆虫学者が研究したところによると、働かないアリは、フェロモンを出して道を教える役割があるらしい」というのです。また、2対8の法則があるらしく、働かないアリだけを集めてみると、その中で働くアリが2割ぐらいの割合で出てきたというのです。逆に働くアリだけを集めると、2割が働いて残りが働かなくなるそうです。
 2対8の法則と同じような法則で、2:6:2(ニー ロク ニー)の法則というものがあります。仕事がよくできる人と普通の人、仕事ができない人の割合なのですが、これも同業他社の社長から聞いた話ですが、仕事ができない人を完全に外したらどうなるかというと、今まで仕事ができていた人が仕事をしなくなるということなのです。結局2:6:2が生まれてくるというのです。恐らくそんなもんだろうというのが私の実感です。アリも人間社会も同じなのかもしれません。
これは、働く、働かないといったことだけではなく、発言する場もそうです。会議やミーティングなどの席上で、積極的に発言する人、流れの中で発言する人、全く発言しない人、の割合にはやはり2:6:2の法則があるそうです。会社の社長だけが集まる場もそうです。トップが集まっているわけですが、みんなが発言するわけではなく一部の社長が発言します。一言も発言しない社長もいるのですね。この中でも2:6:2があるのです。集団を構成しているものは、ある意味ではそのような割合が常に存在するのが自然の法則かもしれません。学校における落ちこぼれとかいった問題も、本当はみんなで助け合っていくことが必要なことだったのかもしれません。ダメな2割を切り捨てようとするのが今の競争社会なのですが。
 そう考えますと、企業は業績不振を理由にリストラで人減らしをして業績が黒字に好転という記事を目にしますが、どんな人材をリストラしたのかですね。また経費が減って業績がよくなったとしても、根本的な問題が解決されていない気がするのは私だけでしょうか。21世紀はそのことが見直されてきています。
「アリのように生きることだけでなく、キリギリスのような生き方だってある時代なんです」。