「営業戦略でどう乗り切るのか」


 孫子が説く兵法「敵を知り、己を知れば、百戦して危うからず」は2500年前の中国春秋戦国時代の書物です。もう一つ「ランチェスターの法則」これはイギリスのランチェスター氏が編み出した法則です。ランチェスター氏は1868年生まれ。イギリスの自動車メーカーのエンジニアだったそうです。
 この二つは、今日でも営業読本の中に必ず出てくるもっともポピュラーな営業戦略術です。2500年前の孫子の兵法は、いろんな解釈が付いてまわりますが、簡単に言えば、自分を知ること、相手の敵を知ること、そして両方がわかることで、初めて勝てるのだということです。140年以上前の「ランチェスターの法則」は、簡単に言えば「弱いものいじめ」の原則だそうです。シェア(市場占有率)の理論で、シェアをどうとるか、シェアをどう守るかという市場争奪の方法論になるそうです。弱いものいじめというくらいですから、シェアの低いところを狙っていく戦術です。
 牛丼の松屋が吉野家を攻める際に、この「ランチェスターの法則」にのっとって地場の小さな牛丼屋を徹底的に買収した戦略がそれにあたります。企業ではシェアが一つのモノサシになるので、そのシェアをみることで、弱い部分を攻めるというものです。
 このようなことを書く理由には、営業というものの重要性を実感しているからで、会社は営業なくしてなりたちません。技術者集団といっていた時代は、技術者の需要が大きくてそのマーケットは技術者であれば仕事があるといった時代でしたが、今は違います。必要な知識、技術をそのユーザーニーズに合わせて提供できることを求められます。なぜなら技術が多様化しているからです。
 技術が売り物の会社であるためには、技術が他に比べて勝っていることは当然ですが、それでユーザーニーズにきちっと対応できることが必要です。今技術者の派遣はなにを求められるのかというと、汎用的にできる技術力は多勢無勢がいるわけですから、その中で勝ち抜かなければなりません。では他にマネのできない技術者がいる場合は、技術の占有は可能です。その技術が無くなるまではですが。
 営業の観点からみて、技術者は派遣会社にとって商品です。そしてその商品を売らなければなりません。孫子の兵法で言えば、己を知るとは何か。その商品はどんな価値があるのか、あるいは何ができるのか、なにが強いのか、なにが得意なのか、マネージメントが得意なのか、プログラミングが得意なのか、分析が得意なのか、業務知識があるのか、設計が得意なのか、何ができるのかを知ることが「己を知ること」だと思います。
 「敵を知る」とは、どのようなことなのか。敵とは何を指しているのか。お客様のことなのか、市場なのか、業界なのか、流行なのか、実は敵は、他の技術者ということもあります。会社ということもあります。この場合、会社とはお客様なのか、同業他社なのか、技術者の競合があるときは、他の技術者が敵になるし、システム要件として求められているときは、その要件に合致させられるかですから、我々が敵とするのは、その要件を満たすことのできる技術を攻略できるかということになります。その技術を身につけられるか、あるいは身につけているかで勝負がきまります。
 では「敵」を知ると、あとはどうやったら勝てるかということになりますが、技術者であるなら、技術者自身が身につけなければならない知識やスキルが必要になるのであれば、身につける努力なくして敵にかてません。
 ランチェスターの法則でみると、シェアの弱いところを攻めるとなると、我々にとっては、シェアの弱いところは、他の技術者がやらないところを攻めることになります。他の技術者がやらない技術、その技術で攻めることは可能ですが、当然市場のシェアも小さくなるのですから、営業力が求められます。それでも並以下の技術ではいくら営業でも戦えません。
 かなり大雑把な書き方ですが、技術者もこれからの時代を勝ち続けるためには、それぞれの敵に合わせた技術、あるいは今のスキルで勝てるところを追求していくしかありません。営業も技術者も、勝つまで頑張る以外に道は無いと思います。やはり「最後まであきらめない」ことしかありませんね。