Stay hungry,stay foolish.「ハングリーであれ、愚かであれ


 この言葉、スティーブ・ジョブズの言ったもので、どう捉えるかは人それぞれだが、よくハングリー精神というのを聞く。たとえば動物は満たされた状態だと、動こうとしないがお腹が空いている状態だと、一生懸命に食料を求めて必死に動き回るし、食料になるものが見つかれば、それを手に入れるために必死に考え行動する。

 人も同様だろう、お腹が空いている状態というのは、つねにどうすればいいかを考えているわけで、常に考え続けることが大事だと彼は考えているのだと思う。私がハングリー精神ですぐ思いつくのはボクサーだ。ハングリーだからこそ、勝つことへの執念が人一倍あるのだと思う。そのことは、言い換えると、どんな苦しい状況でも耐えてきたということではないか。ハングリーなやつほど強い、そのハングリーはおそらく生まれてからの生活から身に付いたものだろうから我慢強さがある、だからどんな苦しい練習にも耐えられる、そして本番でも耐え切って勝つということだろうか。勝利を知るとさらに強くなる。

 満たされた状況では、人は現状以上のことを考えないと思う。それは事業についても言えることで、現状に満足してしまえば、そのスタイルを踏襲するだろうし、そのスタイルをはみ出してまで考えない気がする。満たされているのだからそれ以上に考える必要が無い。欲があればもっと満足したいということになるのだろうが、それだって欲張れば、いい結果を生まない。

 今のやり方でうまくいかなければ、別な方法を考えなければいけないが、考えたらすぐ答えがでるわけではない。さらに、その時考えろといっても、常に考える姿勢ができていなければ、考えることすらできない。ハングリーであれといっているのは、単にお腹を空かしていろ、といっているのではない。常にどうするかを考えろ、現状に満足するな、といっているように私には聞こえる。だから、新しいものが次から次に生まれてきたのではないだろうか。

 「愚かであれ」という言葉に、自分がなにもわからないのだから、なんでも素直に受け入れろ、そう言ってるように聞こえる。

hungry、foolish、切り離してそれぞれを理解するのではなく、現状に満足するな、そしてなんでも愚直なまでにやれ、私はそう解釈した。これを言うだけなら、ジョブズでなくても誰もが思っていることかもしれないし言える言葉だしシンプルだ。ただジョブスには、強い信念、執着、こだわり、徹底したやり方、徹底的に考え抜く、そんな言葉が合いそうだが、ジョブズが言ったことに意味がある。
ジョブズにできて他の人にはジョブズのまねができないのだろうか。言葉で言えば簡単だが、行動するとなると簡単ではない。なぜなら、その行動を支えるものがないと人は長く続けることができない。その行動を支えるものがジョブズの場合「hungry」であり結果だったと思う。どんなに資産を貯めたとしても、「hungry」であり続けたジョブズのすごさを感じる、それを成し遂げるだけの精神力の強さを兼ねそろえていなければ、できないことだ。なぜジョブズにはできたのか。

私が「hungry」を唱えたとしても、どれだけの精神力、こだわりでもってやれるのか、人はとんでもない状況の時、火事場の力もちではないが、思わぬ力がでる、そんなことを聞いたりもする。そんな一発勝負だけでは、ジョブズになれるものではない。とんでもない状況でなくても、考え抜く力が必要で、その力は、やはり体力と同じで、人間の思考も常にトレーニングを積んでおく必要があると思う。

『Stay hungry,stay foolish.「ハングリーであれ、愚かであれ」』言葉の持つ力というのは、言葉によって人が動くし、言葉で救われもする。だから言葉には力があるのだが、もう一つ大事なことは、持続力だろう。言葉はインパクトであり、成し遂げるには持続力が必要で、それを維持するには、それを続ける何かが必要になってくる。ジョブズは「hungry、foolish」の姿勢だけで何十年もやれたわけではないだろう。そこにはその手ごたえをつかんだからこそ、常に「hungryでfoolish」でい続けることができたのだと解釈している。手ごたえを掴むとは、「たしかにそうだ、これでやれそうだ、これでやれるぞ」ということだと思う、だから結果を出すことが持続につながる。つまり言葉を実行し、結果を出す。そしてまた実行し、結果を出す、その繰返しこそがジョブズの力でそれは「stay hungry,stay foolish」だったのだろう。