小さなこと 

 月刊誌「致知」の巻頭に書かれている記事で、気に留まった部分があったので書いてみます。それは、イエローハット相談役 鍵山 秀三郎氏が寄稿されたものです。[小さな実践から生まれる大きな力]という題で始まった文です。マルコム・グラッドウェルという方が書かれた「ティッピング・ポイント」という本の中の172頁に書かれている「犯罪は無秩序の不可避的結果だ」という言葉を、まさにその通りだということで、その本の内容を紹介されたものなのです。
1980年代のニューヨークのことが書かれた本で、
『当時は治安が悪く、最も危険な都市と言われていました。特に地下鉄は危険な乗り物として、一般の人からは敬遠されていました。この地下鉄を、なんとか健全な乗り物にしようと決意したのが、地下鉄公団の総裁に就任したディビッド・ガンという人でした。彼は犯罪学者のジェームズ・ウィルソンとジョージ・ケリングが発案した「割れた窓」という理論のもとに、事態の打開を図りました。この理論は、割れたまま修復されない窓ガラスがあれば、その建物から無法状態の雰囲気が次々と伝染してゆき、深刻な犯罪の呼び水になって街中が荒んだ状態に陥ってしまうというものでした。そこでガンが実施したのは、落書きだらけだった地下鉄を徹底してきれいにすることでした。きれいにした車両に落書きされると、それをまた消す。消せなければきれいな車両と交換して走らせる。併せて、割れた窓ガラスの修理、立小便や無賃乗車の取り締まりを実施していったのでした。彼の行為には、"落書きを消すなど氷山にぶつかる寸前のタイタニック号の甲板をデッキブラシで洗うようなはかないものだ"など、沢山の批判が集まりました。しかしガンには、落書きされた車両は絶対に走らせないという断固たる決意があり、どんな批判にも屈しませんでした。この小さなことを徹底してやり続けたことで、地下鉄の治安は良くなったのです。これに注目したジュリアーニ市長が、ニューヨークの街全体で同じことを実施したところ、犯罪が激減し、現在のような安全な街に生まれ変わったのです。この素晴らしい話は、どんな小さなことでも徹底して行えば、いつか必ず大きな力になることを教えてくれます。』
 少し長い文を引用しましたが、治安の悪さと地下鉄の落書きについては見聞きしていましたので、それがどのように改善されたのかということが、私が気に留まったところでした。
 イエローハットの鍵山 秀三郎という方は、トイレの掃除を20年以上続けておられる方なのですが、どんなに小さなことでも、こつこつとやっていくことで、やがては変化が訪れるのだということに対して、確固たる自信を感じさせます。なんでもそうですが、やり続ける、継続するというのは、地味ですが、結果としてなにか大きなものが得られるような気がします。それと確固たる決意。誰がなんといっても貫き通すという決意であり、信念があれば必ず変えられる。私自身、個人的にも「うまくいったり、そうでなかったり」ですが、会社も続けていますし、そのための「工夫・改善・努力」がなければ続かないと思っています。ただそれが、「難行、苦行」などと感じてやっていたら修行僧になってしまいますし、それだと私の場合は間違いなく続かないと思います。モチベーションを持つこと、そしてそれをいかに持ち続けるか。ものごと全てが考え方ひとつですね。