「時代の変化と終身雇用」

企業が存続していくためには何が重要なのか。技術だって時代遅れになるし、商品も必ず時代遅れになる。では何が重要なのか。
「人」、どのような状況でも対応できる「人」である。「人」という観点で見たとき、これから求められるナビックの人材のキーワードは、「素直に人の言うことが聞ける」、つまりキーワードは「素直」。これが、これからの変化に対応できる人材だと確信している。社員が100人いたら100人の個性に違いがあっていいし、生き方があっていい。ただその100人の中に「素直」を受け入れてくれる人がより多くいることが、ナビックを強くするキーであると私は信じている。
 経済・環境・政治、色々なものが変化していく中で、ナビックも同様に変化しなければ将来はない。「変化」とは何か。例えばプログラマについて考えてみると、プログラマがプログラマのまま40代、50代を生きていくことが可能だろうか。新しい言語ができ、若い技術者がそれを習得し、現場に登場してくると、40代・50代のニーズは無くなってしまう。そうすると、40代・50代は行き場を失ってしまう。コンピュータ技術ほど変化の激しいものはないのではないか。そういう変化の激しい仕事に、私達は従事している。だから私達は変化しないと生きていけないのだ。社員の方も20代が30代になり、30代が40代になる。その人達がどう変化に対応していけるのかは、その「素直」というキーワードにある。「素直」というキーワードをつかみきれない人は残らない。「今のままでもやれる」、そう信じている人たちは、仕事がない状態に追い込まれても自分の価値観を信じているので、職場を変えてでも、あるいはリストラにあっても、今までの仕事を追い求める。しかしどこかで変化しなければ生き残れない。
 大きな会社の中では、自分が変化しなくてもある程度は食べていけた。時代が変われば、そんな大きな会社でも生き残りのためにリストラをする。それが現実である。昔は終身雇用が当たり前のように思われていたが、今は終身雇用制をとらない企業の方が増えてきているのではないか。むしろ終身雇用にこだわらない人達が増えてきているのかもしれないが。私は終身雇用があってもいいと思っている。ただ、仕事がなくては人を抱えることはできない。仕事に見合った人材でなければ、やはり雇用できなくなる。そう考えると、「人」が仕事を変化させ、それがお客様を満足させられるものであれば、終身でも雇用できる。リストラとはある面では、変化しきれない人とこれからの仕事に合う人との入れ替え作業かもしれない。
 仕事の変化と時代の変化が緩やかな時、あるいは時代の変化に関係しない商品作りをしている会社では終身雇用も成り立つが、昔と違ってドッグイヤー、マウスイヤーという単位で時代の変化の速さを表す今日では、終身雇用がより難しいものになっているのではないか。
 しかし、どんな時代の変化にも対応してきたのが人間だから、人間の可能性は恐らく無限だろう。ただし、人はすぐに変化に対応できたわけではない。何回も何回もトライしながら、失敗や成功を繰り返しながら、少しずつ変化に対応してきたのではないだろうか。どんな仕事でも、繰り返し繰り返しやればできるようになる。そうやって変化に対応してきたのだ。最初はできなくとも、何回でもトライしているうちに、ある時できるようになる。あとはその変化の速さとタイミングにのれるかだが、そんなものはなかなかわかるものではない。だから常にトライし続けるしかない。企業経営でも同じで、トライしていくしかない。失敗の繰り返しかもしれないが、恐れてはいけない。しかし会社は存続させなければならない。それはナビックの企業理念「継続と社会貢献」でもある。