「よりユーザーの気持ちがわかる技術者」

ナビック通信という社員向けの通信紙の中で枠をもらっているので、その時その時の思いを書いてきました。おかげさまで、今日まで続けることができましたが、これは会社が今日までやってこられたという証でもあります。
会社をやってこられたのは、社員さんの力によるところが大きいのですが、経営者がしっかりと方向を定めて進んでいかないと、おかしなことになります。ナビックがどの方向に向かって進んでいるのか、それをもっと明確にすることが求められています。
 ナビックは情報サービスという業種で仕事をしている訳ですが、今と昔とでは、変わっているところと、昔と大差ないところがあります。
昔は、未経験者でも出向先のメーカが教育も兼ねて受け入れてくれたので、新興の会社でもやってこられた部分があります。今は殆どそんなことはありません。大手といわれる会社でも余裕がなくなったといえると思います。もうひとつは、我々の仕事がそれほど特殊ではなくなったことが挙げられます。ソフト会社の社員でなくてもパソコンが操作できたり、サーバーを使ったシステムを構築できたりする人が会社の中にいることが多くなってきたからです。コンピュータ技術者でなくてもパソコンを操作できるくらいに、コンピュータというものが身近に捉えられるようになってきたのです。今の50代以降の人たちで、コンピュータのキーボードを触ったことがないという人たちですら、メールのやり取りのためとか、表計算のためとか、文書作成のためとかで、パソコンを操作します。それだけビジネスシーンにおいてはパソコンあるいはコンピュータを抜きに仕事はできない世の中に変化してきたのです。そのような状況の変化は、私たちの仕事に大きく影響しています。
 変化しない部分は何かというと、コンピュータを使った仕事をやってみたい、コンピュータ技術者になりたい(プログラマーになりたい、SEになりたい)という人たちが大勢いることです。「技術を身に付ければ、食べていける」。そう思う人たちもいるでしょう。携帯端末のプログラムを作る技術者、ロボットを作る技術者、インターネット技術者、あるいはもっと漠然とした、「コンピュータの仕事をやりたい」という気持ちだけでこの世界に入ってくる人たち、動機はさまざまだと思いますが、コンピュータという機械になにか魅力的な可能性というものを感じているのかもしれません。
 20年前にコンピュータ技術者として仕事をしていた人も、将来性を感じていたと思います。ただ、現実に仕事として携わってみると、結構泥臭い部分が多かったり、とてつもなく時間をかけないとプログラムが完成しなかったり、勤務時間が変則的になったりということが多いことで、コンピュータ技術者から離れていくことも少なくありません。また、プログラマーとして活躍できる期間が限られてしまうことも一因かもしれません。
 私たちの仕事は、コンピュータを使う仕事といっても、ユーザーがコンピュータを使って処理を行うためのプロセスを構築する仕事と断言してもいいと思います。これからの技術者に必要となってくるのは、プログラムを作る技術だけではなく、どうすればユーザーにとって使いやすくなり、何がユーザーにとって本当に必要なのかを捉えられるセンスではないかと思います。プログラム技術を身に付けること以上に、これからはもっと別な能力を要求されてくることは間違いありません。果たしてどんな能力なのか。それを身に付けた技術者が残っていけるでしょうし、会社もそのような技術者を育てないと生き残れないと思います。