「コンピュータ技術者の30代,40代」

 コンピュータ技術者に限らないのかもしれないが、技術者はどうも話が上手くないと思うことが多い。
こう書くと誤解されそうだが、日常会話が上手くないというわけではなく、人に自分の考えを伝えたり、交渉したり、仕事の内容を相手にわかるように説明したり、人の話を聞いたりすることにおいて営業マンなどと比較すると下手だと思う。コンピュータ技術者は一日の殆どを端末に向かっての仕事に費やしているわけだし、それを一年繰り返し、更に十年繰り返し、ということをやっているわけだから、交渉ごとであるとか、人に説明するといったことは、不慣れでも当たり前かもしれない。
相手に自分の考えや言いたいことを伝える機会が仕事場で少なければ、話す能力、聞く能力、あるいは交渉する能力などは、毎日人に会って話すのが商売という営業マンと比べたら差があって当たり前だろう。
話をするには相手が必要だが、コンピュータ技術者は、話す相手は端末。端末に向かってプログラムを作り上げていく能力が問われる技術者は、プログラムという論理的な組み立てが絶対条件である中では、論理的な考えがあればあるほど良いわけで、話す能力を問われているわけではないことも、コミュニケーション能力を落としている一因かもしれない。
 いくらコミュニケーション能力の必要性を訴えても、コミュニケーション能力がなくても仕事ができてしまうとなると、なかなか身に付かなくても不思議ではない。しかしそのような技術者が30代、40代ぐらいになってくると、コミュニケーション能力が必ず必要になってくる。人を管理したり、指導したりする立場になるからで、その時になって話す能力、交渉能力を身に付けようとしても、それこそ即戦力は無理だし、向き不向きや個人差、慣れ不慣れといったことがあって、そうそう簡単に身に付くものでもなさそうだ。
もちろん、それがいやで、技術者で押し通す人もいるが、いつまでもその立場を守れる技術者、あるいは企業は少ないと思う。
そうすると、プログラム開発能力だけの技術者にも、早い段階からコミュニケーション能力を、技術を習得するのと同レベルで身に付けていく必要がありそうだ。
 経験値という観点で捉えても、先輩技術者の優位性はやはり保証されないように思うのだが。コンピュータ技術としてのプログラム能力を身に付け、それが将来にも役立つと考えてやってきた技術者たちにとって、後輩技術者が同じ仕事をこなすようになってくると、先輩技術者の特権である「経験値」というものがどれほど効力を発揮することになるのか。
それは、その経験値にどれほどの差が出てくるのかで判断できよう。1,2年選手と3,4年選手とでは明らかに差がある。よく引き合い案件の中の条件に「経験値3年以上」というものがあるが、その辺の事情なのだろうと思う。
では、4,5年選手と10年選手とではどうだろう。それほど大きなインパクトはあるようには思えない。それがコンピュータ技術者であるが故の宿命でもあると思う。なぜなら、ドッグイヤー、マウスイヤーで変化が激しいからだろう。
 身近な問題としても押し迫っているだけに深刻だし、コンピュータ技術者の生き残りを賭けた戦いでもあると思っている。
また、コンピュータ業界に未来がなければ、いい技術者は集まらない。