「キャリアパス」

  情報化社会といわれて、30年は経過していると思う。今はIT業界と呼んで理解してもらうようにしているが。若い業界と言われていたが、30年も経過すると、そうも言えなくなってきた。1960年代に今のコンピュータの原型となるstored−Programing(プログラムの入れ替えでコンピュータを処理させる)が発明されて40年近くが経っている。
長い道のりなのだが、業界の抱えている問題そのものは、実はあまり解決していないのではないかと思っている。その問題のひとつは、大多数の情報処理企業は、メーカーや大手ソフト企業の業績に左右される体質を抱えていることである。メーカーからの発注があれば人を派遣し、安定的でリスクの低い経営を行えるのだが、ひとたび、そのメーカーからの発注が止まったら、下請け体質の情報処理企業は生きていけなくなってしまう。バブル崩壊で、多くの情報処理企業が淘汰されたことがその例である。
 労働集約型の下請け体質から抜け出せないでいるのが、多数の情報処理企業ではないかと思っている。このままでは、ユーザーからの評価も低く、業界の地位は向上しないことになってしまう。果たしてこれでいいのか。
 この大きな要因はなにかというと、情報処理業務の特性として、人的な役割がウェイトを占めているにも関わらず、その人材の育成が行われていないことが上げられる。キャリアパスがなかなか行えていない、下請け体質といってしまえば、そのとおりである。
 またその教育が難しい理由の一つとしては、情報処理そのものの変化が急激であることが言える。言い訳になるが、計画的な人材育成を図るために教えようとする技術は、2,3年もしないうちに、新しいものにとって代わられているという、厳しい現実がある。
 当社を振り返っても、なにを教えなければいけないのか、なにが重要なのか、設計のpointを教えるといっても、経験のないプログラマーにどう伝えるのか、言語を教えるといっても、使えるようにするためにはどうするのか、といったことが山積みにされたまま、今日まで来ているように思う。目先の売上にとらわれて、プログラマーやシステムエンジニアの業務を営々とすすめるばかりで、採用した人材が技術のみの要員となり、30代半ばを過ぎると存在価値が急速に失われていくのが現状である。当社では営業も抱えているが、営業事務的な要素が強く、エンドユーザーに食い込める営業には程遠い。
 このようなことを書くと、いたずらに不安感だけがあるように思われるかもしれないが、当社よりはるかに伸びている企業だって沢山あるのだから要はやり方次第なのだ。
 現役バリバリの30代、40代だって沢山いることは知っているので、全てがそうだということではない。そして本来30代、40代は企業の発展的な役割を担うべき大きな戦力になるはずだ。それらを活かしきっていない。目先の売上だけに終始していれば、そのことが失われていくのが現状である。
そう考えると、キャリアパスというものをどう取り入れていくのか、またどう進めていくか、課題は山積しているが、やはり経験を踏まえて、成功と失敗を繰り返しながら少しずつ身に付けていくしかなく、その代償は大きいのだが、この道を進んでいくこと、周りになんといわれてもこの道を進んでいくことが成功への道だと信じている。