「記憶とは『失敗』と『繰り返し』」

  最近読んだ本の中で、「失敗」と「繰り返し」によって記憶することができるという一文がとても強く頭に残っている。これは、自分に希望を与えてくれる一文でもある。年齢とともに忘れっぽくなるとか、なかなか憶えられないとか、記憶することに対しての恐怖というか、半ば諦めというものがあったのだが、記憶するというのは年齢に関係なくできることなのだ、と期待が持てる本だ。
 「失敗」と「繰り返し」。これはマウスの実験の話なのだ。マウスが餌をとるにあたり、ブザーが鳴った時にレバーを押すと餌がもらえる装置(スキナー箱という)を用意して、マウスを使って実験するのだが、レバーを押すというのは、最初は偶然からかもしれないが、何回かその偶然が重なることで、レバーを押せば餌が出る、という仕組みを記憶するというものなのだ。
 マウスは餌欲しさにひたすらレバーを押す。しかしブザーが鳴らなければ餌をもらえないことを理解するようになる。更にブザーに音階をつけて、ある音階の時にだけ餌が出るようにするのだが、それもマウスは記憶するようになるという。何百か何千か繰り返して憶えるのだが、それを格段に早く学習するやり方があるのだ。それは、まずレバーを押せば餌がもらえるという関係を憶え込ませる、次に餌とブザーを関連付けることを憶えさせるというやり方の方が、早く学習するのだという。
 マウスでも単純な失敗の繰り返しからきっちり「記憶」ということに辿り着くのだ。私なども、憶えられないから諦めていたが、一回で憶えようなんてことさえ考えなければ、マウスと同じように、何回も何回も失敗を繰り返すことで憶えていくことが可能なのだ。
 また、その本の中に「タクシーの運転手」の話があった。ベテランの運転手に、「XXまでお願い」と言った時、運転手の頭の中では、その目的地までの道路が記憶されているのだ。それだけでなく、道路の時間帯によっての混雑具合とか、抜け道だとかが記憶されているのだから、それも「失敗」と「繰り返し」の産物なのだろう。
 それらのことを考えたら、「記憶」することに悲観など感じる必要などないのだ。何度でも失敗して、繰り返し憶えていけばよいのだから。「努力」と「根性」なのだ。
この本のタイトルは「記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方(池谷 裕二 著,ISBN 4062573156)」である。
 ちょうど2週間ぐらい先に試験がある。1冊260頁ぐらいのテキストが試験の範囲なのだ。この試験は実技がないので、本当に記憶だけが勝負となるのだから、上記の本に書いてあることを参考にして、新たな記憶に挑戦してみることにした。
決して難しい試験ではないのだが、ただ、2週間という時間の中でどれだけ効率良く学習ができるのか、そして、そのテキストの中にある、なかなか憶えられないフランス語読み、ドイツ語読みといった名称を果たしてどれだけ記憶することができるのか。
試験の結果は記憶力の成果だと思うので、合格すれば記憶力の勝ちだ。