「WSET」


  以前もこの欄で触れたことがあるWSETの話をしてみたい。WEST(ウェスト)と間違えて読む人が多いが、WSET(ダブルセット(Wine&Spirit Education Trust))と読む。何故こんな話をするかというと、私が2年越しでワインとスピリッツの認定資格試験の初級に臨んで今年10月にやっと合格したので、少しはWSETのことを理解してもらいたくて書いてみた。
 WSETは世界中のMW(Master of Wine)200人が最初に受ける関門であり、イギリスの資格認定機関である。試験の採点結果はイギリスから郵送で送られてくる。試験そのものは英語と日本語があるのでどちらで受けても良い。受験料は日本語の方が2,000円高いが、私は日本語を選択した。
 どんな内容の試験かというと、WineとSpirit(蒸留酒)に関わる問題で、種類で言えば、ワイン、スパークリングワイン、リキュールワイン(酒精強化ワイン)、サイダー、ペリー、ビール、ウィスキー、ブランデー、バーボン、ウォッカ、リキュール、と幅広い。日本や中国、その他アジアのお酒には全く触れていないのは、やはりイギリスだからだろうか。
 それらの製法、土壌、気候、地域、品種、品名が試験に出る。50問出題されて、58点以上取れれば合格。前回は48点で不合格だった。今年は62点すれすれで合格。点数まで教えてくれるので親切だと思う。若い人だったら記憶力が良いから誰でも合格できるだろうが、今の自分の年齢で合格できたことで、それなりに自信が付く。
 主にワインが中心だが、世界中のワインが範囲なのだ。フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ベルギー、ハンガリー、またニューワールドと言われているアメリカ、アルゼンチン、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アフリカといった国のワインが出題される。テキスト1冊は260頁位だが、傾向や対策は1回目の試験の経験を生かして掴むぐらいで、特に問題集等は無いので、こつこつとテキストを覚えていった。フランスやイタリアの言葉、地方名称などには殆ど馴染みが無いので、覚えるのに四苦八苦した。日本語であれば結構語呂合わせも楽だが、フランス、イタリアとなると音感として連想できる言葉が少ないというか、殆ど丸暗記でもしないと覚えられなかった。連想した言葉を見つけるのが大変で、こんなに覚えにくい単語もなかった気がする。
 試験勉強をしていて思ったことは、言葉、単語、どんなものでも沢山覚えることが記憶の助けになるということだ。どんな単語でもよい、極端な話、それがポケモンのキャラクターでもよいのだ。好きなものはなんでも覚えておくと、馴染みの無い単語も連想して覚えられるので、将来に渡って必ず役に立つ。その単語なりが役に立つこともあるだろうが、記憶という領域では、連想という意味で非常に役に立つと思った。
 テキストの中身について話すと、ドンペリのことがこのように書いてあったりする。『1668年、オーヴィレール修道院のPierre Perignonが酒蔵の担当になったのだが、そこでワインの発泡酒を発見した。それがDom Perignon(尊師ペリニョン)になったのだが、世の中に出てくるまでに50年位かかっている。もっとも、イギリスで17世紀頃に発泡酒を作っていたとも言われているが。』
但しこういったことは試験には出題されない。しかし知っていて楽しいものだ。また、ピイイ ヒュメ(煙のような)という辛口でスモーキーなワインがある。ロワール川流域の中央ぶどう栽培地域で作られるワインなのだが、これは試験に出題されたので覚えている。ヒュメはどの地域のワインかという問題だったと思う。
 試験に合格することは、今年の目標の一つだった。目標は達成するまで掲げておくものだとつくづく思う。ホノルルマラソンも出場すると言い続けて5年かかって実現した。今では4時間を切る目標まで上げている。
 会社についても50億の売上を達成する目標を立てている。今は苦しみながらの経営だが、目標を下ろす必要は全く無い。やがて達成できる。そう信じればいいだけなのだから楽だ。